フロイト,S.の古典的構造論では、自我の役割は単なる調整役に過ぎなかったが、自我心理学においては、自我の能動的・積極的機能を重視した。外界を認識し現実的で妥当な判断を下す現実検討能力、欲求や感情を制御する防衛規制、自己の内界と外界の境界を識別し維持する自我境界などの能動的自我機能に関する理論は、自我障害としての精神病や境界例の理解と治療に多大な影響を与えた。