他者との分離の事実を否定し、分離の痛みを味わいたくない心理と定義される土居健郎が構築した精神分析及び日本文化理論のこと。この心理の起源は、日本文化特有の密着型母子関係にあり、発達後も対人関係における基本的態度であった。しかし、近代以後の欧米的個人主義文化の流入により、甘えが抑圧され、その葛藤が様々な神経症的不適応を引き起こしているとされている。阿闍世コンプレックスと並んで、日本における精神分析の重要概念である。