古代ギリシヤではプラトンのイデア論に代表されるように宇宙そのものの目的論的形成の原理であり、中世においてもキリスト教の神学的世界観に引き継がれ、自然的認識対象に関わる理性的能力が重要視されている。近代に至っては神から人間中心へと移行する中で数字と機械的自然観が結びついてデカルト、スピノザ、ヘーゲルに代表される近代的合理論が誕生した。理性的で自律的な人格は、近代的主体となるもので、経験論と合理論とが相補的に科学的探求を推進してきたといえるものであり、現象学的還元によって初めてその根源的な基盤を問われるようになってきているのである。