漢方方剤

十味温胆湯

よみかた じゅうみうんたんとう
方剤種別 祛痰剤 > 燥湿化痰剤
典拠出典 証治準縄

処方構成
この方剤を構成する生薬の組み合わせ

生薬名 原材料と加工法
制半夏加工した、外皮を除いたサトイモ科ハンゲ属カラスビシャクの塊茎
炒枳実小麦のフスマとともに炒ったミカン科ミカン属のダイダイ、イーチャンレモン、ナツミカン、およびカラタチ属カラタチなどの幼果
陳皮ミカン科ミカン属のウンシュウミカン、コウジ、タンジェリン、コベニミカンおよび同属植物の成熟果皮
茯苓外層を取り除いたサルノコシカケ科ウォルフィポリア属マツホドの菌核
酸棗仁クロウメモドキ科ナツメ属サネブトナツメの成熟種子
遠志ヒメハギ科ヒメハギ属イトヒメハギの根
五味子マツブサ科マツブサ属チョウセンゴミシの成熟果実
熟地乾燥させ酒で蒸したゴマノハグサ科アカヤジオウ属のジオウ・アカヤジオウ・カイケイジオウの塊根
人参ウコギ科トチバニンジン属オタネニンジンの根
炙甘草蜂蜜とともに炒ったマメ科カンゾウ属のウラルカンゾウおよび同属植物の根・走出茎
生姜ショウガ科ショウガ属ショウガの根茎
大棗クロウメモドキ科ナツメ属ナツメなどの成熟果実

適応疾患 および 対象症状

動悸、不眠、息切れ、悪心、頭痛、めまい、手足のむくみ、発汗、驚きやすい、消化不良、味覚障害、落ち着かない、舌苔が少ない など

薬理作用

精神安定、動悸改善、睡眠改善、呼吸改善、鎮痛作用、目眩改善、浮腫改善、味覚改善、止汗作用、消腫作用、消化促進、嘔気改善、舌苔改善 など

東洋医学的弁証
東洋医学の診断に基づく対象疾患・症状

痰濁内擾(痰濁が内を擾しめまいや吐き気が生じる)、心虚胆祛(心が虚弱で胆気が不足する)、心悸不眠(動悸と不眠)、頭痛眩暈(頭痛と眩暈)、四肢浮腫(手足のむくみ)、心虚煩悶(心の虚弱と焦燥感)、短気悪心(息切れと吐き気)、坐臥不安(落ち着きがない)、飲食無味(食べ物が味気ない)

治法・治療原則
東洋医学的治療法と治療原則

化痰和胃(痰を化解し胃を調和)、養心安神(心を養い神を安ず)
  • 『方剤種別』については、複数の漢方方剤種別に属する方剤もあるが、当該方剤の薬理作用が最も顕著にあらわれる漢方方剤種別に基づき、単一の方剤種別に属させている。
  • 『東洋医学的弁証』および『治法・治療原則』については、中医用語に精通していない一般の方を考慮し、あえて重複表現を一部用いている。
  • 『適用疾患および対象症状』については、当該方剤が直接的に効力を示す疾患・症状に加え、間接的に効力を示す疾患・症状についても併記している。
  • 『この方剤の持つ「薬理作用」』については、当該方剤の直接的な薬理作用に加え、間接的な薬理作用についても併記している。