漢方方剤の分類のうち「温裏散寒剤」って、どんなもの?
「冷え」は、とにかく温めて治す
温裏散寒剤は、腹満・腹痛・食欲不振・悪心・嘔吐・下痢・四肢の冷え・痺れなどの症状を呈する『裏寒証』を、温熱性の漢方生薬を用いて治療する方剤で「温中散寒剤」「回陽救逆剤」「温経散寒剤」の三種に大別されます。
温中散寒剤は、腹満・腹痛・食欲不振・悪心・嘔吐・下痢など、中焦の寒証による症状を、脾胃の陽気を温運することで寒邪を取り除き治療するもので、代表的な方剤には「呉茱萸湯」「小建中湯」「理中丸」などがあります。
回陽救逆剤は、陽気衰微による四肢の冷え・顔面蒼白・大量発汗・嘔吐・呼吸微弱などの症状を呈する『虚陽外脱』の重篤な状態を救急に治療するもので、代表的な方剤には「回陽救急湯」「四逆湯」「参附湯」などがあります。
温経散寒剤は、陽気不足により経絡が寒邪を感受し、血の運行が阻滞して起こる身体の冷え・しびれ・腹痛・関節痛などの症状を経路を温めて治療するもので、代表的な方剤には「当帰四逆湯」「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」「黄耆桂枝五物湯」などがあります。